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Vol. 45 インドネシアで考えたこと

4泊5日のインドネシアへの視察で、私は今後の日本の未来や、世界の中の日本、ということについて、深く考える機会を得ることができました。 何号かにわたって、私の考えをご紹介させていただきます。 帰国の飛行機の中で、私は早速旅の間につけたメモをまとめました。 気付きは100個以上になりました。 それらを種類分けすると、1つは企業経営の在り方に関する原理・原則の再確認、1つはインドネシアに生活している人々に関すること、1つは私たち日本人の長所に関すること、などになりました。 現地では、元東芝中国代表を務められた方にお会いしたり、大塚製薬の日本人社長等のプレゼンを拝聴したり、ユニチャームの現地視察などの機会を得ました。 また日本でいうところの経済産業省を訪問し、官僚と意見交換をすることもできました。 インドネシアはアジアの国の中でも特に親日的な国家であり、例えば経営手法や技術革新に関しても多くの点で日本をお手本にしようとしているそうです。 その中で、今の日本の決して楽観視できない経済状況下において、インドネシアの人々が日本にどんな魅力を感じ、日本のどの部分を企業経営に取り入れていきたいと考えているのかを知りたかったのです。 「インドネシアの皆さんは、日本のどの部分を素晴らしいと感じ、取り入れたいと考えているのですか。」 インドネシア経産省の官僚が答えました。 「質を求めるという姿勢を真似したい」 インドネシアは気候の関係で米作は三期作を行っています。年に3回、お米が収穫できるということです。 日本は、一部の地域をのぞき、収穫は秋の一度だけです。 年中お米が大量に収穫できるインドネシアと、冷夏や台風被害に苦しみながらも、秋の一回の収穫に向けて大切に稲を育て上げる日本。 その結果としてインドネシアは「量」を求め、日本は「質」を求めるということです。 インドネシアの方々は、日本人の特性を「質を求め、緻密で丁寧な仕事ができること」と考えておられました。 官僚の答えを聞き、私は思わずうなりました。私たち日本の特性を、インドネシアの方々に教えてもらったような気がしたのです。 日本はコメや野菜・果物の分野においても、高い技術力を誇り品種改良を重ね、味の良いものを世界中に輸出しています。季節の果物のおいしさは、私が旅したどの国よりも素晴らしいと感じています。 「質を求める」という特性が日本の持ち味だとすれば、私たちは仕事においてより一層の成果を出そうとするときに、ベクトルをどこへ向ければ良いのかがはっきりとわかります。 また、世界への貢献という観点から考えても、日本が世界経済において果たすべき役割が見えてくるのではないでしょうか。 技術や専門性を生かし世界に貢献するという方向性は決して間違ってはいないということです。 補足として、インドネシアの方々自身が考えるインドネシアの特性は「おだやかさ」「ホスピタリティ」です。 実際に、日本の介護の分野には、インドネシアから多くの方が留学されています。 介護施設におられる老人の方々は、介護をしてもらうならタイの方かインドネシアの方、とおっしゃるそうです。 穏やかで優しく、宗教教育により徹底した互助の精神を持っているインドネシアの人々にとって、介護の現場は特性を生かすまさに適材適所なのかもしれません。 ただし、介護の資格を取るための日本の国家試験において、現場で優秀なインドネシアの介護士が言葉の壁にぶつかっているそうです。 日本語を教えることのできる日本語教師は、現地で一人あたり100名もの受講生の教育を受け持たなければならず、たいへんハードです。 日本から、現地に出向き、日本語を教えることのできる教師を派遣すれば、介護現場だけでなくインドネシアの雇用の未来全体が大きく開けるのではないかと思います。 グローバルの時代、英語の必要性を痛感しましたが、これからの未来を担う子どもたちは、英語に加えもう1つ言語を習得しておくことが社会貢献という点から見ても重要なのではないかと強く感じました。 次回は、アジアの国々で現地に根差し活躍する経営者の手法から見えた、組織運営の原理原則についてお話させていただこうと考えています。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 (原田隆史)