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Vol. 38 夢を育てる

昨年は、日本人が4名同時にノーベル賞を受賞し、大いに話題となりました。 ノーベル化学賞を受賞した下村脩氏が、テレビ番組でインタビューに答えておられました。 ある女性タレントが、「自分の子供にノーベル賞を取らせようと思ったら、何をしたら良いですか。」と質問しました。下村さんは、穏やかな口調でこう答えました。 「子供が興味を持ったこと、それがあなたから見ればとるに足らないつまらないものに思えたとしても、子供が興味を持っている限りは、とことんまで追求させてあげなさい。自然の中に出して、生の体験をたくさんさせてあげなさい。その中で生まれた興味を、親は止めてはいけません。本人が納得いくまで、調べさせてあげることです。」 この下村さんの発言は、子供の夢を育てる「親の在り方」を的確に示しています。 上記のテレビ番組では、中高生が会場に集まり、4人のノーベル賞受賞者に質問をするコーナーがありました。 ある女子高校生が「私は実験がうまくできないのですが、正しい実験方法はどうやって見つけることができますか。」と質問しました。 ひょうひょうとしたユーモアセンスたっぷりに、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんがこう答えました。 「そんなことを質問して教えてもらおうとするから駄目なんだ。失敗しなさい。」 また、4名が口をそろえて強調したことは、「努力しかない」ということでした。 夢を持つ。 この一見簡単に見えることすら難しくなったと考えられています。夢を持てないとか、夢が見つからない、という言葉もよく耳にします。 しかし私はこう思います。「夢は努力して見つけるものだ」と。 私は「夢」とは、「こうなりたい」という漠然とした希望と考えています。 その夢に日付を入れることで、夢は一気に具現性を持つ「目標」に変わります。 夢に日付を入れて目標とし、現在との距離を測り、達成のための具体的な方法を考えるというステップは、いわば「目標達成のための初歩的なスキル」です。 スキルですから、その気になれば手に入れることができます。 しかし、その最初の段階、「夢を持つ」ということは、残念ながらスキルで身に付くものではありません。 「夢を持つ」ためには、何かに対してワクワクすること、感動すること、期待すること、などの体験が大切です。 これは、人から与えられるものではなく、自ら能動的に、努力して求めていかなければ手に入らない体験だと言えるでしょう。 たとえば小さな子供は、甲子園で活躍する高校球児の姿を見て、ワクワクします。 真っ黒に日焼けした顔、全力プレー、勝っての涙、負けての涙。 子供心に言葉にならないような感動を覚えることでしょう。 そしてこう思うのです。「僕も、甲子園で野球がしたい」 これが、夢が誕生する瞬間です。 自らの夢について語ることは容易です。 しかし、まず語るに足りる夢を見つけることが大切なのです。特に子供たちにとっては、どんな経験をして何を感じ、その経験をどうやって自分の未来とつなげるのかということが重要です。 自らが夢について語ることができるだけでなく、目の前の子供たちが自分と同じように、熱を持って自らの夢を語ることのできる大人へと成長すること。 努力と忍耐の先には、輝く自分だけの夢があることを、自らがモデルとなって子供たちに教えることができる、私たちはそういう大人でなくてはなりません。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 (原田隆史)