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Vol. 62 失敗とどう向き合うか 3

前回は、「失敗から成功の気付きを見つけ出すこと」についてお話させていただきました。今回は、失敗を繰り返す人と、そうでない人の違いについて考えてみたいと思います。 【失敗から立ち直るという『確信』を得る】 失敗を悔やむよりも、「本当はどうしたかったのか」という理想と、失敗した自分との現実のギャップに気付かせ、それを埋めるための具体的なアクションを起こすことが重要である、というお話をしてきました。 それでも、失敗した人を叱らなければならないときが確かにあります。 それは、「失敗に向き合う態度が悪い」ときです。 ここで、反面教師として知っておくべき、失敗に対する「ありがちな態度」をご紹介します。これを私は「失敗の五原則」と呼んで、自らを戒めています。 1.失敗を直視しない 2.人のせいにする 3.対応を後回しにする 4.忘れようとする 5.その結果、同じ失敗を繰り返す ほとんどの人にとって、失敗とは大変いやなものです。 自分が情けなくなるし、人に迷惑をかけることもあるし、誰も「失敗しよう」と思って取り組んでいないのですから、失敗とは常に「自分の希望に反した状態」と考えることができます。 この、失敗がいやだ、と感じる状態は、人の心理に様々な影響を及ぼしますが、その時に「失敗がいやだから、考えたくない」と思うか、「失敗がいやだから、二度としないようにするにはどうしたらよいか考えよう」と思うかで、失敗を繰り返す頻度が大きく変わるということです。 失敗に向き合い、どうすれば良かったかを文字にしてまとめ、しっかり考え抜いた人は、私の経験から見ても、同じ失敗はほとんど繰り返しません。 それどころか、失敗の回数自体が減っていくものです。 逆に、失敗を「たいしたことではない」と、間違ったプラス思考でのんきに片づけてしまう人は、残念ながら同じような小さな失敗を繰り返し、やがては大きなミスをしてしまうことが多いようです。 失敗と向き合い「考える」という段階を踏むことで、「その失敗をしない方法」がわかるだけでなく、「その失敗から立ち直る方法」についてもわかるようになる、ということです。 失敗して、先の見えない闇にまっさかさまに落ちたような気分になるのではなく、経験値として「大丈夫、立ち直ることができる」と確信することができるのです。 以前にもご紹介した「日経トップリーダー 2010年1月号」のインタビューにおいて、不調に苦しむフィギュアスケート・浅田真央選手の「復活の方法」について、私独自の視点でお話をさせていただきました。 それを少しご紹介します。 【原田メソッドの視点】 試合でトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に失敗して、ジャンプというスキルに対する自信がぐらつき、それが拡大し、自分に対する自信まで失いかけたように見えます。 「今回はジャンプは失敗したけど、本来の私は絶対できる人なんだ」という仕分けができなかったのではないでしょうか。 それを分けてやるのはコーチの役割です。 練習すれば以前と同じようにトリプルアクセルをきっちり飛べるでしょう。 「自分はできる」という自信を取り戻せば、金メダルを取れます。 この記事が掲載された直後の全日本選手権で、浅田選手は見事復活を果たし、オリンピック代表の座を射止めたのは、記憶に新しいところです。 そして先日、韓国で行われたフィギュアスケートの四大陸大会では、SPでトリプルアクセルが回転不足となり3位と出遅れた浅田真央選手は、翌日のフリーの演技で見事完璧なトリプルアクセルを決め、逆転優勝を飾りました。 彼女は、一日目のSPで出遅れた、つまり失敗したとしても、翌日のフリーの演技で逆転する、復活できる、という確信を持っていたのだと思います。 だから、失敗の波に巻き込まれ落ち込んだままでは終わらない。 一度波に乗りそこなったように見えても、確実にもう一度回復できる。 自分の失敗ととことん向き合い、自分の中に解決の具体的な答えを持っているのですね。 「今日の演技で80%金メダルに近付いた」というコメントは、失敗を直視し乗り越えた結果得た、浅田選手の「セルフイメージの回復」と言えるでしょう。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 次回は、失敗についてのお話4回目、「失敗しない自分を作為的に作ること」について述べ、失敗から立ち直る心の強い人についてのシリーズの最終回とします。 (原田隆史)