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メールマガジンバックアップ

Vol. 42 目的・目標の4つの観点について 前篇

今回は、目標設定において大きな意味を持つ「目的」についてお話してみようと思います。 中学校で陸上競技部の顧問をしていた当初、私の目標は「生徒を日本一にすること」と「日本一の指導者になること」でした。 しかし、日本一を目指し、練習を工夫し、その道のプロに師事し、できることを全てやり万全の態勢で試合に臨んでも、どうしても日本一には届きませんでした。 日本2番や日本7番、あと数センチ、最後に逆転される、そんなことが続きました。 大阪市や大阪府では負け知らず、しかし全国大会に出ていくと私などは新米の指導者でした。 何が足りないのか、そればかりを考えました。 最初、私は陸上のスキルを極めようとしました。次に、体力向上に取り組み、フィジカル面を鍛えました。しかし、何かが足らないのです。 そんな中、私が最後に勤務した大阪市内の中学校で、私の転機が訪れます。 赴任した当時の生徒との交流は、私の著書でも繰り返しご紹介しましたが、心打たれ思わず涙を流すことが何度もありました。 私はそこで過ごした7年間で、私に足らなかったものに気付かされたのです。 練習で使うスパイクがつぶれると、私の今までの感覚なら、生徒は次の日には新しいスパイクを履いていました。むしろ、つぶれる前に買い替えていました。 しかし、ある生徒は、破れたスパイクを縫いました。 ある生徒は、接着剤を使って修理をしました。 その理由を尋ねると、「これは原田先生に買っていただいたからです。」という答えが返ってきました。 その生徒の母親に聞くと、なんとスパイクが入っていた箱も大事に置いてあって、机の前に飾ってあるとのことでした。 何とかしてやりたい、何とかその思いに応えたい、私は強く思いました。 また、陸上部がだんだんと活躍しだすにつれ、地域の方々や保護者の方からこのように言われることが多くなりました。 「陸上部が活躍すると、元気が出る。」 「地域のためにも、頑張ってください。」 大好きな陸上の指導を頑張ると、一見、陸上部とは関係ないように思えた人たちが喜んでくださる。有難いと手を合わせ、もっと喜んでもらいたいと考えるようになりました。 日本一を作りたいから、日本一を作る。 ただそれだけだった私の目標には、生徒や保護者、地域の方々の「思い」が加えられたのです。 「何のために日本一を作るのか」 「何のために勝ちたいのか」 それは、私の大きな命題となりました。突き詰めれば、それは、 「何のために、陸上競技指導をするのか」 「何のために、教育するのか」という、私の仕事観・人生観を揺さぶる問いかけでもありました。 私は「目標と目的」について考えるようになりました。 日本一のために日本一を目指すのではなく、陸上競技や自分自身を超えた、生徒の人生、学校の立て直し、地域の活性化、自立型人間の育成、喜んでくださる誰か、そういったものや人のためにある目標だということに気付いたのです。 こうして、私の目標には、「思い」が生まれました。 私が「日本一13回」を成し遂げたのは、実は教員生活20年のうちの、最後の5年間のことです。 「思い」を持ち、目標と目的について明確なビジョンを持つようになったからこそ、私の目標は達成されました。 次回の後編では、目標に対する思い=目的を考える上での重要な4つの観点についてお話させていただきます。 また「目標と目的」に関しては、このメールマガジンでも推薦している、吉田浩之先生の著書「部活動と生徒指導~スポーツ活動における教育・指導・援助のあり方」(学事出版)に、大変詳しく書かれています。 是非ご一読ください。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 (原田隆史)