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受講者の声
FAN VOICE

2018.11.15

体力課題解決研究指定校の取り組み

FAN VOICE : 三郷市立栄中学校 中村和美校長

三郷市立栄中学校 中村和美校長にお話をお聞きしました。

ーー原田メソッドに取り組み始めたきっかけは

中村校長先生:
子どもたちは、様々な「やりたい事」を持っています。彼らがもともと持っている力を発揮すれば、予想以上のものが出てくるでしょう。しかし実態として、段取りよく取り組めなかったり、意欲的に取り組みにくいという部分がありました。そんな子どもたちの心のスイッチを押す方法がないかを探していました。

また、埼玉県から「体力課題解決研究委嘱」を頂いています。子どもたちには、自らの課題解決に向けて自ら学び、また活躍していくことで、自己肯定感を育んでもらいたいと考えています。

そこで、課題や、課題を解決するための行動を明確にするよい方法として原田メソッドが良いと考えました。もともと原田先生のお話を聞いたことがありました。テレビなどの報道で大谷翔平選手のマンダラが紹介されていますが、これは原田先生が作ったものだと知りました。

そこで、栄中学校の全生徒へ「おうちの人と相談をしてこのマンダラを作ってくる」ことを、私(中村和美校長)からの宿題として出しました。

 

ーーオープンウィンドウを全校生徒が開いた写真を見て驚きました!

目標に対して、全64マスをどれだけ埋められるだろうか…出来上がったマンダラには能力差が出るものか…そういったことを確認したかったということもありました。

ーーやはり個人差は大きかったでしょうね。

はい。校長からの宿題ということで、子どもたちは真剣に取り組んでくれました。ご家庭の関心やサポートによってまずは大きな差が確認されました。あまりサポートを得られなかったのだろうというマンダラももちろんありました。

まだ、本校としての取り組みはそこまでです。着手したばかりの段階ですから、あとはこれをどう転がしていくか。

子どもの日常生活と重ね合わせ、どれほど具体的な行動や目標を書けるようになるか…市内の先生方も使えると良いと考え、井坂先生に講演をしてもらいました。

井坂先生の講演を聞いて、先生方もマンダラをどういう風に使っていくかを理解したことでしょう。出版されている書籍からだけでは見えない部分があったので良かったです。一部の先生方は、担当されている部活で取り組むことを考えているようです。

子どもたちは、小学校の頃から目標を立てています。…そうはいっても、それらはまだまだ漠然としたものです。ですから、子どもたちがマンダラをもっと上手に書けるようになれたら良いですね。

まずはこの取り組みを通じて、子どもたちが「これを達成するぞ」と決めてから動き始めることができるようになってほしいです。

原田式長期目的・目標設定用紙も書き上げられるようになるのは、まだまだ難しいでしょう。これを書けるようになったならば、本当に自立した子どもになると思います。現在中学校1年生の子どもたちが3年に上がるまでには書けるようになるとよいですね。とはいえ、まだまだこういったものを考えて書くという習慣が定着してはいません。まだまだ、これからです。

 

ーー取り組みのはじめから、突然素晴らしい内容のマンダラを書くことは難しいでしょう。(原田隆史が指導していた松虫中学校でも)生徒が書いたものを先生が赤ペンで添削をして返し、そしてまた提出してきたものを添削する…これを繰り返しました。フィードバックを繰り返すことで、どんどん精度が上がっていきます。中1の始めに書いたものと、中3の最後に書いたものが、別人のものかと思われるくらいに変化成長しているものです。

1〜3年生のマンダラを比較したとき、受験を控えている中3生は埋まっている子が非常に多かったですね。彼らの目標は極めて明確です。SS(偏差値)をいくつにするとか、生活態度などの指標を、簡単に思い浮かべることができたようでした。ですから、どのように、1〜2年生たちをこのような状態に持っていくかが、これからの課題ですね。

私も教務主任の先生とともに「学力向上」をテーマにしたマンダラを開きました。実際に作ってみると、「よく見える」という感覚を得ました。

なかなかマスが埋まらない場所もありました。そういう場所は、学校全体のアイディアがないような分野でした。あるいは実際に取り組みをしていなかったり、わかっていても取り組みづらいような分野でした。先生方も取り組んだ方がよいものだと思いました。

スタートしたばかりで、まだ検証段階ではありませんが、マンダラを考えてよく記入できる子の多くは、体力テストの数値が1年生のときから着実に上がってきています。体力テストの数値が1年時はEランクだったのにBランクまで上がったある生徒のマンダラを見ながら、この子は自分自身が運動は苦手なのだと理解し、部活動などで様々な工夫をしながらやってきたのだろうということがわかりました。「何をすべき」かがわかれば、それを目指して周りの子も同じようにできるようになるでしょう。これらは当たり前のことではありますが…。

 

ーー当たり前のことを当たり前にできるようにすることこそ大切だと、私達も考えています。

また、生徒全員で書くということが、ポイントだと思いました。「生徒全員が書くのは無理ではないのか?」「やれる子どもだけで良いのではないか」という声もありました。しかし、考える力がある子もない子も、皆が一斉に書くことで、様々なことに気づけたのではないかと考えています。こうして一斉に取り組むことで、子どもたちの間でもその話をする機会ができます。「書いたけれども、どうだった?」など、お互いのマンダラを見ながら話したり考えることもできます。

 

ーーまさに「知の共有」ですね。宿題としてのこの取り組みでこのマンダラを書ききった生徒たちの内面では、大きな変化があることでしょう。中村先生、本日はどうもありがとうございました!

 

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