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受講者の声
FAN VOICE

2025.11.12

石橋啓祐様(養成塾36期)

FAN VOICE : 石橋啓祐様(仁愛保育園 副園長)

福岡市城南区にある 仁愛保育園 は、開園から50年以上にわたり乳幼児向けの「立腰教育」を実践してきた保育園です。初代園長の石橋富知子氏は教育哲学者 森信三 氏から直接学び、「立腰」と「躾の三原則」を保育理念に掲げ、「子どもの腰骨を立てる」という象徴的な行動を通じて、主体性・集中力・持続力・創造力・品格を育む教育を実践してきました。  

その志を受け継ぎ、園の次代を支える副園長に就任された石橋 啓祐 氏は、幼少期からこの教育に親しみながらも、野球に打ち込んだ学生時代の挫折や、保育の道を選ぶまでの葛藤を経て、次第に教育の本質に目を向けるようになりました。  

祖母・富知子氏の講演活動を十年にわたり支え、全国を共に巡る中で、「立腰教育を正しく広め、守っていくことが自分の役目だ」との使命を自覚。現在は副園長として、祖母の理念を継承しながら、園の保育・教育を次の世代へとつなぐ取り組みを続けています。

 

■転機と原点

Q これまでのキャリアを振り返って、特に印象に残っている転機はありますか?

A やはり高校時代の野球の挫折ですね。中学までは野球一筋で、自由で楽しい日々を送っていました。高校は強豪校に推薦で入りましたが、入学してすぐ椎間板ヘルニアを患ってしまった。練習にも出られず、見通しが立たなくなって退部を決めたときは、まさに人生のどん底でした。その後、アルバイトを始めて少しずつ気持ちが戻り、今を楽しむ感覚を取り戻したのが立て直しのきっかけでした。

 

Q その後、保育士の道を選ばれた経緯を教えてください。

A 進路はかなり迷いました。工業高校にいたので、周りは就職が多かったんですが、実家が保育園をしていた影響もあって保育の専門学校へ。ただ動機が弱く、途中で留年してしまって。当時が人生の最下点でしたね。

そんな私を支えてくれたのが祖母です。励ましを受けながら、なんとか最後まで続けて資格を取りました。その恩義もあり、祖母の勧めで実家の保育園に2年間だけ勤めてみることにしました。保育の仕事の面白さ、子どもたちの成長を支えるやりがいに気づき、いつしか「この道で生きよう」と腹が決まっていたのです。

 

■祖母との学びと使命の継承

Q お祖母様の講演活動にも同行されていたそうですね。

A 祖母は当時、全国で年に何回も講演を行っており、私は講演依頼のやりとりや現地調整を担当していました。講演内容は祖母が手書きでまとめ、それを私がワードに入力してスライドを作成し、当日は祖母の話に合わせてスライドを切り替える役割を担っていました。この作業を十年ほど続けました。

講演の移動や宿泊も多く、祖母と長い時間を共に過ごす中で、祖母の考え方や夢を直接聞くことができました。祖母は「学童アフタースクール」や「フリースクールを作りたい」といつも話していて、各地の講演先では参加者の方々から「立腰教育が素晴らしい」「ぜひ続けてください」といった言葉をいただくことが多くありました。そうした反響を何度も聞くうちに、祖母の夢を自分が引き継ぐべきだと感じ、「自分の役割はこの教育の仕事にある」とはっきりと考えるようになったのです。

 

Q 教育の仕事を続ける中で、次の目標はどのように生まれたのでしょうか。

A 私が経営の勉強を始めたころ、園を運営するだけでなく、この立腰教育を正しく広めていく活動をしたいと考えるようになりました。そこで、もともとあったNPO法人を引き継ぎ、「人の土台づくり」という法人として新たに発会しました。祖母を理事長に据え、発会式には原田先生にお越しいただき、祖母とのクロストークを行いました。テーマは「原田メソッドと実用教育」で、その場でお二人に対談していただきました。

このクロストークは私にとって大きな転機になりました。原田先生と祖母の対話を通じて、自分の中に「立腰教育を正しく広め、守っていくことが自分の役目だ」という明確な目標が生まれました。あの場で初めて、自分が何のためにこの仕事をしていくのかという目的がはっきりしたと感じました。

 

■原田メソッドとの出会いと実践

Q 原田メソッドを学ぼうと思ったきっかけと、実際に学んで感じたことを教えてください。

A 私たちの法人では、2027年度4月に小学生向けの学習型アフタースクールと、不登校の子どもたちのための第三の居場所となるフリースクールの開校を計画しています。立腰教育をベースにしながら、もう一つ子どもたちの一生の宝になるような学びを提供したいと考えていました。そこで、目標設定を軸にした原田メソッドを取り入れることにしました。

いざ受講してみると、これまでの理論が自分の中でつながり、目的や行動が整理されていく実感がありました。特に「長期目的・目標設定用紙」や「四観点」を通じて、祖母から受け継いだ想いが形になっていくような感覚でした。凡人でも実践できるノウハウでありながら本質を突いており、1〜2ヶ月実践した段階で仕事効率も上がりました。習慣化できれば最強だと感じています。

 

Q 実際に現地で原田の講義を受けて、どのような印象を持たれましたか?

A やはり現地で受けるのは全然違います。原田先生の生の声を聞き、目が合う瞬間の迫力や熱量はオンラインでは味わえません。Zoomではどうしてもタイムラグがあり、セッションの中で交流しにくい部分がありますが、現地ではその場で書いたものを見せ合いながら学べるのが大きいです。

休憩中にも原田先生が声をかけてくださり、緊張をほぐしてくれたり、温かい言葉をかけてくださる。その一つひとつが「ストローク(心の栄養)」になり、勇気や活力になりました。

初めて現地に行ったときの挨拶で、「石橋君、雰囲気変わったね」と声をかけていただいたのが印象的でした。その際に、祖母や仁愛保育園の話にも触れていただき、本当にありがたかったです。また、第3回では「歌が上手いんだね」と声をかけられ、驚きました。どこで知っておられたのか分かりませんが、そうした細やかな配慮や温かさに、人としての深さを感じました。

 

■これからの教育と未来への展望

Q これから実現したいことを教えてください。

A 祖母の夢だった「学びの場」を形にすること。そして、原田メソッドを通して職員も子どもも「自立」を実感できる園づくりを進めたいです。そのためには、理念を日々の行動に落とし込む文化が欠かせません。ストロークを大切にし、互いを認め合える空気を育てていく。理念が現場の言葉として生きるようにしていきたいと思っています。

幼児教育には「不易」と「流行」があると思います。どんな時代でも変わらない本質がある一方で、手法やツールは時代に合わせて進化させなければならない。最近は「見守る保育」や「怒らない教育」が主流ですが、集団で育つ力や仲間と立ち直る経験も同じくらい大切です。自立とは「一人でできる」だけでなく、「折れたときに助け合えること」だと考えています。

 

■編集後記  

インタビューの前、養成塾の懇親会で石橋先生の前に座り、お話を伺う機会がありました。そのとき先生は、立腰教育を海外に展開する構想を熱く語ってくださいました。理念から長期目標、そこに至る行動計画、さらには想定される課題まで──まだ養成塾の第3回講義を終えたばかりの段階で、すでに一気通貫したビジョンを具体的に描かれていた姿に、「この方は一味違う」と強く感じたのを覚えています。

今回のインタビューでは、挫折や迷いを経ても前に進み続けてきた歩みを語ってくださいました。挫折があるからこそ、人の痛みを我がことのように感じ取れる。迷いぬいたからこそ、今は迷いなく道を歩む力強さがある。これまで築かれてきたものをさらに発展させようとする先生の姿勢から、強いエネルギー・行動力を感じました。

目の前の課題を一つずつ乗り越えながらも、常に先を見据えて動いておられる。その推進力こそが、仁愛会の未来を切り拓いていくのだと感じます。原田メソッドが、その歩みをさらに確かなものにしていくことを願っています。

石橋先生、どうもありがとうございました!

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