受講者の声
FAN VOICE
2025.11.24
石原慧子様(養成塾36期)
FAN VOICE : 石原慧子様(株式会社はちどり 代表取締役)
株式会社はちどり(コアラドライブ安城)は、愛知県安城市を拠点に、自動車教習をはじめ、交通安全教育やドローン教習、学童保育など幅広い学びの場を提供する企業です。
経済産業省「おもてなし経営企業選」選出や中部経済新聞社「中経トパーズ賞」、愛知県公安委員会「年間成績優秀教習所」表彰、そして令和6年には「CSP(クルマ・社会・パートナーシップ)大賞 選考委員特別賞」など、数々の賞を受賞しています。
石原社長にお話をお伺いしました。
Q 原田メソッドとの出会いを教えてください。
きっかけは知人の高木さと子さんでした。彼女を通じて原田メソッドの存在を知り、その後、岡留さんが2017年に学習塾を立ち上げたとき、原田メソッドを導入したことを聞いて講演会に参加したのが最初です。ちょうど子供が生まれた直後の時期で、家庭と仕事の両面で何か学びたいと思っていた時期でした。企業研修にも教育にも応用できるメソッドだと感じた瞬間に、これは自分に必要な学びだと直感しました。
Q 講演でどんな印象を受けましたか。
とにかく「教える力」がすごいと感じました。他の講師の方が自分の得意分野から語るのに対し、原田先生は知識を伝えるために構造的に話す。話がうまいというより、まさに“先生としてうまい”。一言一句に意図があり、聞く側が理解しやすいように組み立てられていました。そのとき「教育者」という職業の本質を見た気がしました。
Q 原田メソッドをどのように仕事に活かされていますか。
私は自動車学校や英語教室などを経営しています。どちらも「できないことを責めるより、できたことを認める」ことが大切な場所です。お客様や生徒の小さな前進を見つけ、それを評価し、次の課題にしていく。その繰り返しが文化になっています。
原田メソッドはまさにその考え方で、行動と心の両面を支える仕組みになっています。特に「反転学習」の考え方は、子どもの学び方にも通じます。忙しい経営者でも、事前に動画でインプットし、あとから復習できる形式は非常にありがたいですね。
Q 交通安全教室の開催など、地域のための取り組みはじめ、様々な活動をされているとお聞きしました。
私たちは特別なことをしているつもりはありません。あくまで「当たり前のことを当たり前にやる」だけです。たとえば地域貢献も、ボランティアやイメージアップのためではなく、「この町から交通事故をなくすこと」が使命だから行っています。子どもたちへの交通安全教室や、地域への施設開放などもその一環です。私たちにとっては“普通のこと”なんです。
賞についても同じです。積極的に狙って取ろうとはしていません。たまたま見た賞の基準が自社の取り組みと合っていれば、「うちのやっていることに当てはまりそうだな」と応募する。それだけなんです。
Q 多様性や公正な機会の面では、どんな環境づくりを進めていますか。
男女の区別なく働ける環境づくりにも力を入れています。先代の会長の時代から、愛知県で初めて女性の教習指導員を採用しました。性別で人を判断せず、能力と意欲で採用する。その考え方が今でも会社の根本にあります。男女間の給与格差はなく、当然のように平等が守られています。
男性社員の育児休業取得も推奨しています。私自身、子育てを経験して「育休は休みではなく、育児という仕事」だと痛感しました。子育ては「理不尽」なことの連続で、仕事よりずっと大変な時もあります。でも、その経験を通して人としての幅が広がり、家庭や職場への理解も深まる。男性が育休を取ることは、本人の成長にもつながると感じています。
Q 挑戦を続ける姿勢の原点はどこにありますか。
今年度は、複数の事業部を独立させて新会社を設立しました。私は「まずはやってみよう」という姿勢を大切にしています。同じことを繰り返すのが苦手で、常に新しいことに挑戦したくなるんです。毎年何かしら新しいことを始めるのが当たり前になっていて、社員も「今年は何が始まるんだろう」と自然に次を考えてくれるようになりました。
ドローン事業や安全研究所の独立も、社員の「やってみたい」という声から生まれました。私は「やりたい」と言った人に社長を任せる。こうして手を離すことで、組織全体が成長します。
一方で、事業を始める際は損切りラインを決めることを徹底しています。「ここまでやって結果が出なければやめる」。この基準を設けることで、執着や迷いを防ぎます。
Q 経営方針としての「先約主義」について教えてください。
決めた以上、最後までやり切るのが自分の流儀です。これを「先約主義」と呼んでいます。たとえば「中古車を2台、新車を1台買う」と決めたら、何があっても方針を変えない。
または先に受けた約束を最優先し、後からどんなに大きな依頼が来ても断る。先約の相手に優劣をつけないことが信頼につながると考えています。
Q 人生観にも計画があると伺いました。
はい。私は「70歳で死ぬ」と決めています。長生きに美学は感じません。だから、やりたいことや行きたい場所をすべてリスト化しています。家族との目標もあって、子どもが小学生のうちに47都道府県をすべて回る計画を立てました。家に大きな地図を貼って、訪れた場所を塗りつぶしています。日々の習慣も大切で、「今日やると決めたことをやらないと寝られない」「明日の準備をしないと寝られない」という性格は子どもの頃から変わりません。
Q 社員教育や学びへの考え方を教えてください。
経営で大切なのは「怒らないこと」だと思っています。チャットワーク創業者の友人が、言うことを聞かない社員にも一切怒らなかったんです。怒っても誰も幸せにならないと学びました。だから私も、社員には感情ではなく理解で向き合うようにしています。
社員教育においても、「できないこと」ではなく「できたこと」に焦点を当てるようにしています。たとえ小さな前進でも、それをきちんと認めて、次の課題として捉える。お客様をゴールに導く自動車学校や英語教室の仕事は、まさにそういう積み重ねの上に成り立っています。
経営の目的は会社の成功ではなく、社員一人ひとりの幸福です。教育やメソッドは、成功するためではなく幸せになるための方法だと思います。会社の目標を中心に置くのではなく、社員自身の人生が真ん中にあるべきです。ツールも使い方を誤ると人を不幸にしますから、まず自分が正しく学ぶことが重要です。経営者も社員と一緒に学ぶことを心がけています。共に学ぶことで、同じ言葉で語り合え、共有する喜びがあります。
■編集後記
同じく会場で受講している方が「石原社長のオープンウィンドウ64を書き上げる速さに驚いた」と話していました。今回のインタビューでも、同じように感じました。どの角度から質問をしても、すぐに明確な答えが返ってくる。その答えはそのまま記事として掲載できるほど整っていました。この点において、原田メソッドでいう「予測と準備」を感じました。
お話の内容はどれもレベルが高いと感じました。SDGsや地域貢献の取り組み、そして数々の受賞歴。そのどれもが社会的に評価されるものですが、石原社長は一切誇ることなく、淡々と「当たり前のこと」として語られます。何かを身につけたとき、それを特別ではなく「当たり前」にできる――その境地に達している姿勢に、私はお話を伺いしながら、しびれました。
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